「私来月結婚するんだ」
「それはおめでとう!!!!!」
っていうのは、今の日本での普通の会話のはずなんだけど・・・
ここ、ケーララでは・・・
「・・・私・・・来月・・・結婚するの・・・」
「・・・そ、そうなんだ・・・・・・」
って感じになる。
クラスメイトの子が一人結婚させられることになった。
その娘は21歳。
相手の男は32歳。
「えぇ?!でも今試験期間中じゃん!」
「そんなこと誰も気にかけないの。次の日曜結納なんだ。」
次の日曜っていうと・・・次の月・水・金には3科目の最終筆記試験があって、
それで試験が終わるから・・・
つまりは、試験(しかも3科目も)直前の日曜に、
しかも、1週間待てば筆記試験が終わるのに、
試験の後ではなく
試験前に、
行われるということ・・・?この子試験勉強勉強できないじゃん。
「私、その人と1回会っただけなんだよね。全然興味ないんだけど・・・」
「電話したりとかは、しないの?」
「その人の電話番号持ってるんだけど
電話したくないんだよね・・・
本当に興味ないんだけど・・・」
「というか、試験終わってからとか、大学終わってからとかにしないの?
相手が決まってるんだったら待ってもらえばいいじゃん」
「占星術によると、今じゃないといけないんだって。それ以外の機は私にないらしいんだ・・・
私だって全然結婚なんかしたくないよ。私まだ21歳で相手は32歳だよ・・・。」
「・・・・」私は何を言えばいいか分からなかった。
占星術。
日本では占いやおまじないの延長みたいに捉えられているかもしれないけれど、
実はその人が生まれた時間と場所に見えた星の位置をもとに
その人が歩む人生を正確に割り出すとっても緻密ですごく正確な計算術である。
しかし、インドではこの占星術でつくったその人の「ホロスコープ」が、
その人自身の選択よりも大切になるのだ。
私の他のクラスメイトも「ここでは人間よりもホロスコープが大事なんだよ!」と言ってた。
しかし、この地の人にとっては、たとえ本人が嫌がっていたとしても、
ホロスコープでの相性がよければ結婚させられる。
ホロスコープのタイミングで結婚する。
ということが常識みたいな感じでまかり通っているのだ。
占星術・・・?
人を幸せに、正しい方向に導くための占星術のはずなんだけど、
彼女は全然嬉しくなさそうだし、
試験があと1週間で終わるのにそれを待たないで試験前に結納だなんて、
他人の私からみたら意味不明だし、試験勉強しっかりできないんじゃあ
何のために両親は金出して彼女を大学にやっとるんじゃ!!と思える。
その人本人よりホロスコープ優先。なんか逆になってます。
人権というものがない。
試験と、女としての人生の試練を同時に受けて立つことになった彼女・・・
どんな心持ちなのか私には想像を越えてしまいます。
そして、普通に今まで対等に人間として接していた彼女が、実は「女」で
私と同じ権利をもった「人間」ではなく、この社会では商品なのだ・・・と知り、
一緒に今勉強しているクラスの女の子たちは全員そうやっていつかは売られていくのか・・・と思うと非常に情けなくなる。
しかし同時に女に平等の権利を取り戻した革命の凄さにも
感激して、感謝。
人は平等だと当たり前に想っていたけど、
実はぜんぜん昔はそうじゃなかった。
積み重なったこういう女の人たちの犠牲の上に、
想いの上にあったと知ることになった彼女の結婚。
恋愛は禁止なのに、大学卒業前に妊娠させるのはいいんだ・・・。
「逆に、子供できないと、問題になるんだよ」って言っていた友人を思い出す。
男性に支配されている彼女たちの運命を思うと悲しすぎていたたまれなくなりました。
私の先生が言ってましたが、インドの女性のトータルで8割ぐらいが
何かしらの性的問題を抱えているといいます。不感症、恐怖症、・・など。
こうやって無理やり結婚させられてるからだよね・・・どう考えても・・・。
日本じゃ、自由恋愛結婚バージョンになり今や婚活、とか言って
私自身も結婚できないかも・・・って焦ったりしてる人が多くて
むしろお見合い結婚復活かも?そっちのが<安定>してて安心かも?って思う人も少なくない気がするけど・・・
恋愛結婚って、本当にこういう状況の世界では目標みたいになるよね。
なんて私は自由な世界にいるんだろう・・・。
私たちに起きた女性に権利を与える革命が、彼女たちにも訪れることを祈ります。