じぶんのかたわれをみつけて
こどもを産めば
かんぺきな人間ができあがるはずなのに
そのこどもも
かたわれをさがしだす

かたわれとかたわれがあわさってひとつで
こどもができるのに
人間は永遠に不満らしく
おわったら次へいくよう

にんげんは 
うまれたしゅんかんからそれをさがしている

わたしが
かたわれのわれをわすれ
ふわふわと水槽のなかでおよぐのではなく
大海原を駆け抜けるならば
いつか鮫のえさになる
そして水槽とは比べ物にならないほどの 

あてのない旅路

たおれてしまいそうになっても下には
シャコ貝が口をあけて待っている
落ちるえさを まつことは許されず
鮫の皮膚を削る毎日

自ら飛び出したのが
いつしか 泳ぎ続けるしか道が無い

泳ぎ疲れ、倒れるのも出来ず
わたしがすわりこもうとしたのなら
救い上げて終わらせてほしい
鮫でもなく 水槽のゴミ捨て場でもなく
海鳥のくちばしの中で
じぶんの望まない終わり方をしなかったこと
・・・だけをよろこび

あぁ、生へのバトンタッチを忘れていたと
思い出したところで

つぎへのたんぱく質へと分解されるのだろう