みなさい。世界は人間の無明によって、おぞましい喜劇と受難の場と化している。

誰もが自分本位に生きている。
それは、利己主義が自分の幸福にとって必要だ、
と誤って考えているためだ。

他人の苦しみを犠牲にして幸福を追い求めることが、
この世のすべての苦しみをつくり出しているのだ。

この瞬間にも世界のあちこちから響いてくる苦悩の叫びを
すべてきくことができれば、あなたは決してそれに耐え ることはできまい。

それほど悲痛な叫びなのだ。

友よ、あなたがこのようなことを 知っていれば、何もせずにいられるだろうか?

症状を和らげるのではなく、原因に 直接向かうことだ。
あなたの心を変えることだ。

心が変われば、あなたは自分の 教えに生き、

その生きた実例によって世界に影響を与えることだろう。・・・

自分自身を理解することだ。
自分を理解することと較べれば、人を理解することの方が はるかにたやすい。

君は、自分の子供を理解するより他人の子を理解することの方が
楽だと考えたことはないか?

あることに対して偏見を強め利己的な関心を増せば増す ほど、
それを理解するのがますます難しくなるのだ。

自分ほど客観的に判断すること の難しいものはない。

自分自身に完全に目覚めるよう人々に語ることだ。

自分自身の 動機を絶えず調べ、
自分自身に率直になるよう人々に語ることだ。

それが自分に欠け ているものを知るための第一の条件であり、
理解に向けての第一歩といえるだろう。

結局、とても簡単なことなのだよ。

愛することだ。

深く、深く愛することだ。

そして、愛が 自己中心性という毒から自由になっていれば、
それだけ深く理解することになるから、
あなたは人に対して優越感をもったりしなくなる。

真の愛が理解を呼べば、この理解 が、「霊的傲慢」という恐るべき落とし穴から人を救うのだ。


「チベット永遠の書・宇宙より遥かに深く」

T.イリオン著 林 陽 訳 徳間書店

無断掲載。