日差しが強すぎて女の子は目を細めた。
どうしてこんなに草の原はまぶしいのだろう。ろくに陽が照ってるとも思えないのに。
落ちている木の枝すらも、ぎらぎらと光っているほど。よくみると真っ黒で、そんなはずはないのに。
一瞬目をつぶってあけると、それはただの枝だったのに。

いつも
もしかしたら
目が覚めれば
ちがうんじゃないかとか
かわらない陽をながめながら
何もしないまま
それを見つめながら勝手に願う


草をちぎりながら、陽が暮れるのをながめる。さっきまで真っ青で、残酷なまでにも照りつけていた銀色の太陽は、誰も頼んでないのに勝手におちてゆく。どうすることもできないまま、草にすわって、自分からオレンジ色にかわり、山のむこうにおちてゆき、街までもオレンジ色に照らしはじめるそれをみていた。

目をあければそのまま眼球の向こう側にある脳に直接続いてる神経まで焦がしそうなほどの光をはなち、自分の意思のように色を変え、そしてこちらの住んでいる世界のすべての色を変えてしまい、さらには、次の日に戻ってくるまでは我々をこんどは、

まっくらやみの中に放り込んでしまうだなんて、

なんて勝手なんだろうか。

あたりは少しずつつめたくなり、風がふき、沈むのを支えはじめる虫がなきはじめ、鳥はそれをいやがってあわてて追いかけるように飛び出す。

成す術もなく、それをみている。
すわりこんで、ここを思い切り照らしていたときと同じように、草をちぎりながら、今度は闇に抱かれて見えない目をとじながらも、すわりこんであてもなく草をちぎっている。この草も、丘も、丘から見える街も、そのまた向こうの港も、なにもかも照らし変えてじぶんのじざいに色をかえてしまうそれに対して、何もできることはなく、ただ草をちぎって座っている。

街のあかりが、 ぽつり ぽつり と 間に合わせのように、つきはじめるが、丘の上からみえるその光は、ほんとうにあるのかないのか分からないぐらいの程度であり、空は相変わらずまっくらやみのままだった。そうじゃないのよ、というように、星が、美しく暗闇をちりばめてそれは宝石みたいだと思ったけれど、それでも、手をのばした先もみえない。 蛍も ぴかり ぴかり と 空気のなかをとびはじめて、自分の存在を主張しているけれど、その光も一瞬しか続かないのだった。

ここにある光と言えるようなもののすべてが何もかもが間に合わせで、それに比べれば、取るに足らなかった。

何もできることはなかった。



****

映画2本 + フィッシュマンズの音色でおかしくなってしまった。なんだこれ。