あなたへ


今日は、 あなたがこの地球を離れてから8年が経つ日。
 2月11日。
 毎年、いや、毎日、
今でもあなたのことをいつも思い出している。

 あなたのために音楽を流そうと遅いながらもリストを作ろうとしたら
 あなたの好きな音楽は多すぎて途中で分からなくなってきて そして気づいた。

 あなたの好きなSHERBETSを私はその頃は好きじゃなかったこと。
 SHERBETSのあなたが知らない曲を聴かせてあげるね。

わたしの持ってる音楽のほとんどは、あなたが知ってる音楽たちだったということ。


 あなたは、音楽とコーヒーとワインと共に生きてたんだよね。


 あなたと出会った音楽、Mercury Revを久々にかけてみるよ。


少しずつ、忘れかけている、記憶を、かけらをあつめるように、
わたしは拾っていくと
 8年経っている今でも、
わたしは泣いてしまう。

 あなたが居なくなる前、
 わたしたちは3月に旅行に行こうねと約束をしていたこと。

 あなたに、3月は来なかった。

 わたしは、あのときをどうやって乗り越えたのか今でも分からない。

 今でも、あなたの遺骨を拾った時、ぽろりと崩れたのを
あなたの体の冷たさを
 あなたの目がどこにも向かずにあいていたのを
そのあと何週間かろくに何も食べなかったのを
わたしは鮮明に覚えていて、今でも苦しくなる。

 そのおかげでわたしは命の尊さとはかなさ、
それすらも包み込む愛の偉大さを知ったんだ。

 でもね 8年経って、 わたしは色んなことを通じて思うの。

 あなたはどこかにいて いつもきっと見守ってくれていると。

20歳の2月11日には、水晶を見つけた。
21歳の2月11日には、確かあなたがくれた音楽がランダム再生してたのに連続でかかった。

 そんな奇跡がみせてくれたこともあったけど 今のわたしはどこかで知っているんだ
この世の誰の魂も死なないということを。
 

あなたの写真を飾ろうと思って探したら
代わりに、船で世界をまわってあげくの果てにインドに辿り着いた21歳のときの日記が出てきて
みいってしまった。
 少し思い出したよ。

ポルトガルのシントラで出会ったスピリットのこと。
 あのころのわたしはいつも木と話していたこと。
 わたしは、本当に世界中を周ってここに来たんだということ。
 その旅は、この世界のどの人間とも比べられないものだということと
 そのすべてを経て、わたしはここにいるのだということ。

 私は今インドの田舎に5年もいてろくに旅行もしないけど
それまでの私は旅ばっかりしていたということを思い出したよ。
 そして、人生は旅ということも。

 ねえ知ってる?
あなたを亡くしたショックで、わたしは最初のインドの旅に出たことを。
 あなたを亡くしてからも何人かの男性と付き合っても、
あなた以上の人には決して出会ってないことを。

 あなたを亡くしてから、
 わたしのほんとうの人生は始まった気がするということを
あなたは知っている?

あなたのおかげ
あなたのすべてのおかげ
あなたの人生のおかげ

あなたの死のおかげで
 わたしは今ほんとうにここにいるんだよ。

あなたが死ななかったら、私はたぶん今インドにいないだろう。
なぜなら、あなたの死が最初のインドに旅立たせたきっかけであったから。
だからわたしは、あなたの死という出来事に感謝しているんだよ。

そしてわたしの人生は、まだ、続いている。
 わたしはこれからも アユミ つづけるの。

わたしを、わたしとして生きられるように、
わたしそのものを認めてくれてありがとう。

 あなたのおかげで、
わたしは、わたしという人格を認めることができた。

あなたに出会ったおかげで、
わたしは、愛することと愛されることを知った。

あなたは、わたしの親友であり、パートナーであり、双子の片割れであり、
 わたしのすべてを知っている理解者だった。

それは、あなたの死から10年近く経とうとしている今も、変わらない。

あなたのおかげで、
わたしは、この世に奇跡が存在するということを
 今でも信じることができるんだよ。


 最後にあなたがくれた短歌をもってあなたに祈ります。


 「いつも笑うおまえの横で揺れている 生温かい方位磁石が」


大好きです。