今日もまたあなたの命日

わたしは今年あなたと同じ年になるんだよ。
でもあなたは、出会ったときのまま、
いつまでも私はあなたの年に追いつけずにいる気がする。
たぶんきっとずっとそうなんだろうね。

9年目の今、想うのは
ただ、
天よ
あのひとがわたしを包んでくれた愛で
この宇宙のどこかにいるだろうあのひとを包んであげてください
あのひとが安全に次の人生を渡れるように 手助けしてあげてください。


わたしは あなたともう逢えない
わたしは、亡くなったおじいちゃんやおばあちゃん、ペットたちと話したり
亡くなった人と会おうと思えば会うことができるけれど、なぜか知っている。
わたしは、あなたにはたぶんもう逢えない。

だけど、あなたがわたしと出会って、
あなたが教えてくれたことすべての事実という歴史は
わたしの中にずっとずっと脈々と生き続けている。

かわいくなろうと努力しなくてもいい
ありのままでいい
何者かになろうと努力なんてしなくてもいい
わたしがわたしでいるだけでいい
あなたがあなたであったというだけで
たくさんのひとがあなたの 死を 悼んだという事実
わたしがもし 今死んだとしたら あなたのように悼んでもらえるかという疑問
あなたはわたしにきっと一生問い続けるだろう
わたしがわたしであれば、それですべて十分なんだって。


「けっきょく、俺、何もしなかったな」って思わないで
あなたは あなたでいるだけで十分役目を果たしていたんだよ。
そしてあなたが ありのままに愛して受け止めてくれたから
わたしは 人を愛するということの重さと深さを知っている。
愛よりも大きなものなどないということを知っている。
目に見えるどんな関係よりも、
目に見えない絆のほうがずっと強いことを知っている。


あなたがもし生きていたら
わたしはきっと 今の自分とはまったく違う人生を送っていたのだろう
だから、ありがとう

いま、あなたは、あなたの居る場所で、
あなたらしくありのままに居てほしい
それが私の願いです

縛られないでほしい
捉われないでほしい
思いこまないでほしい
素直な目で見て 考えていてほしい
苦しんでいるのならそれを乗り越えて強くなってほしい
何をしていたとしても あなたがあなたであるということを
何よりも大切にしてほしい




神様、ありがとう。
あのひとがいたおかげで
今のわたしはここにいる。

あのひとがいたおかげで
わたしは自分を認められる
ありのままでいいって知った
そのものが大切だって分かった


きっと、生きていたら、色んな目に見えるしがらみが邪魔して
こんなに綺麗な想い出じゃなかったのかもしれない。

「奥さんになる?」と言ってくれたその言葉の気持ちの方が、
社会やお金の問題よりも大きく受け止められた
感性だけで生きることが許されていた
かけひきなんか知らなかった
そんなのときに出会っていたからこそ

わたしは、
あなたに出会い
そしてあなたを失ったから、
自分の人間としての深さを知っている
その深さは、愛だということを知っている
そしてその愛の深さは、どの人にも存在していて
人を越えたところにあるということも知っている


いつもいつも思いだすよ。
これから先、形式だけになりそうになったり、地位や名誉や欲にかられそうになったとき
あなたが
純粋無垢なままのわたしを
ただそのままに
受け止めて愛していてくれたことを
そしてそのおかげで
わたしは今、生きているということを

あなたの命をひきついで
わたしは
まだ
生きていきます。


だから
神様、
彼を誉めてあげてください
彼を見守ってあげてください
彼が孤独で苦しみそうになったときはそっと
わたしが
この世で彼に受けた愛を
返してあげてください

ありがと。