ダニーボイルやっぱり最高!

なんか季節外れのネタですみません・・・。
私好みの監督トップ3に入るダニーボイル監督の
なぜか見落としていた「ミリオンズ」をやっと観ました。

「ミリオンズ」

200万ポンドを拾った子供の兄弟が、 そのお金でどうしようか悩むお話。

超工夫されたカメラワーク、 スタイリッシュな映像と、
鋭い音楽センスで有名なダニーボイルが撮れば、
大抵どんなものでもおしゃれになります。
それがたとえ、穴ぼこをガムテで塞いだソファだとしても。
インドの臭くて汚すぎるスラム街や地下道が「スラムドッグ・ミリオネア」で
超人的世界に変身したように、
イギリスの街並みが、お菓子やおもちゃ箱みたいに超可愛く見えて
現実的な世界であるはずの学校もまるで夢の中みたい。

映画の中のポンド札束は、あらゆるものすべてと交換できる価値のある「お金」に見えません。
子供  × 札束という、エキゾチックな組み合わせはお金の魔力を無効化し
お金=価値あるものという説得力が消滅します。
お金ってただの紙きれ・・・

なんかラストの最後の3分で全てが一気に収束します。
すべてはこのためか!という、素晴らしいラストシーンはダニーボイルにしかできません!!!

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文字通り、豚に真珠をあげても喜ばない。 
自分の丈に見合うお金の量と使い道がある。
それ以上でも以下でも 私たちは気を揉み、気に病み、心の中も住む環境も休まらない。 
同じ200万ポンドでも自分で稼いだお金なら映画の問題にはぶち当たることはないだろうし。
所有するお金の量よりも、その量がその人に見合っているのかということなんだなあ。 

そして、人のためになると信じて行うことも、
人のためにならない場合や 自分にとってよくない結果を招くことが多々ある。 


でもなぜか「奇跡」と呼べるような出来事は、
いつも思いがけずに、そして、自ら私たちに飛び込んでくる。











もの(お金)には収まるべき場所があるということ。

色んな頭脳を使ってお金を使おうとしても仕方なかったりするのに対して、
ほんのわずかなお金でも、

収まるべきところに収まれば、







こんな私たちでも、







奇跡が起こせるのだということ。











この世界というのは、本来は、
そういう奇跡の連続のシステムのはずなのだということ。









この歴史に残る「聖人」たちは
そういう ”奇跡”を 掘り起こした人たちなんだということ



まるで砂漠の中から井戸を掘り当てたみたいに









この映画は、「お金を使ったファンタジー」ではあるけど、
決して「お金についてのファンタジー」では
ありません。

お金というのはこの映画の中でのメタファーにすぎません。

ありあまりすぎた札束は、まだ見えない未知の未来。
その途中色んなお金の使い道を探す姿は
自分自身の居場所を探る主人公ダミアンそのものです。




私たちにはいつも未知で無限大の可能性があるんだよということ
そしてそれを見つけていくのがプロセスなのだということ
それはつまり、居るべき場所を探していくということなのだということ

それにはものすごい遠回りをしないといけないかもしれないし
いろいろと試してみて、その中には思い切り傷つくことや失敗があるかもしれない。

それに、見つかった居所というのは、
ほんとうに小さなものかもしれない。




でも、 あなたという個性と
その場所が、
ぴったり重なったとき、
砂漠から水が湧き出るみたいに
奇跡が起こる





この世界はそういう奇跡の連続のシステムなのだということ。